-月姫-

 前の席から順番に自己紹介を始め、次は神楽の順番が回ってきた。

「えっと、月夜 神楽です。弓道部に入ってます」

「月夜って、古文の月夜先生と同じ名前だね?」

 不思議そうに言うと、神楽は呆れた顔で従兄妹だと話した。

「あぁ、じゃあ君が噂の従兄妹さんか。君の子供の頃の写真見せてくれましたよ」

「えっ?! 何で写真持ち歩いてんの!?」

 神楽は驚きを隠せず叫ぶと、月読はクスクスと笑いながら答えた。

「実は月夜先生とは大学時代同じクラスでね、いろいろ話しが合うから一緒につるんでいたんだ」

 へぇ~っと皆が顔を合わせながら頷くと、七夜がニヤリといたずらな笑みを一つ。

「センセー。それってどんな写真ですか~?」

「そうですねぇ…。小学校の低学年くらいの写真だったかな? たぶんまだ持ってるんじゃないかな? 大学時代よく自慢げに見せてたから」

 回りから、不気味な笑みを見せながら神楽を見つめる生徒達。

「愛されてるぅ~」

「気持ち悪すぎるでしょ!」

 七夜の一言に、神楽はサブイボたっぷりの叫び声をあげた。


(あのド変態っ! こんな所で羞恥プレイだなんてっっ)

 神楽の心の中では、海に対する殺意が芽生えていた。

 海はそんなことつゆ知らず、のほほんとジャンプを片手にコーヒーをすすっていた。


 
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