-月姫-
目覚めは突然に
ガバッと勢いよく体を起こし、うっすら汗をかきながら小さく荒い息を吐いた。
午後の授業にうたた寝をしてしまっていたのか、少女は辺りを見回し、腕時計に目をおとす。
時間といった時間は経っていない。
ものの2~3分ほどだ。
だけど、自分が本当にその場所にいて、本当にその人物が自分なのだと思わせるほどに鮮明でリアルな夢。
生温い風が頬と髪を撫でていく。
汗を拭いながら、窓の外を見る。
(かなりリアルな夢だったな…。かぐや姫の本枕にしてたからかな?)
ポリポリと頭を掻きながら教科書を見下ろすと、スコンとチョークが脳天にぶち当たってきた。
「つをっ!?」
「お前、俺の授業で居眠りたぁ、いい度胸だな? え? 神楽」
手で頭を押さえ、ベソをかきながら先生に声を荒げた。
「いったいじゃない! 何すんのさ海兄!」
「先生と呼べ先生と!」
「海兄だってあたしのこと名前で呼んでるじゃんか!」
二人は知り合いらしく、言い争いが起こると回りの生徒達は笑い出した。