幸せ家族計画

　電気を消し鍵を閉め、再び車に乗り込んだ。

車内はまだ生暖かく、部屋に居た時間がそう長くは無かったことを俺に教えてくれる。

　英治の家までは車で３０分ほど。

道路はほどほどにすいていて、スムーズに最寄りの駅近くまで辿りついた。
そのまま路地裏にはいると、足早に歩く英治を見つけた。

すぐにブレーキを踏んだが、車はすぐには止まれない。

５メートルほど追い越したところで止まり、窓を開けて声をかけた。


「おい、英治。今からおまえんちに行こうと思ったたんだ」

「達雄……。お前なんて顔してんだよ」


その呆れたような表情を見て、初めて自分の姿について考えた。

そのままサイドミラーに映すと、青い顔をした泣きだしそうな男がそこに居る。
なるほど情けない顔だ。

俺がそんな事に気をとられているうちに、英治はするりと助手席に乗り込んだ。


「じゃあ、乗せてけよ」

「ああ」


そのまま車は走り出す。
そして、お互いが知っている状況を話しあった。