幸せ家族計画
「あ、うちの駐車場一杯だから、大通りのコンビニの方に停めて歩こうぜ」
そう言われて、進路を右にとる。
別に路上駐車でも良いかと思っていたのだが、英治がそういうって事は家にあがれって事なんだろう。
コンビニの一番端の方に停め、いったん中に入る。
ただで停めるのも申し訳ないので、プリンを5個買った。
俺たちは無くてもいいけど、女性陣は甘いものが好きだろう。
コンビニを出て歩きだすと、英治は煙草を取り出して火をつけた。
「最近家で吸わないんだ」
吐きだされた煙は、糸を引くように伸びていく。
昼間は気にならないけど、闇の中で見ると煙が何か模様を描いているように見えた。
「俺さ、自分がこんな風になるとは思わなかったな」
「え?」
「家で煙草吸うとさ、サユが臭いって言って逃げていくんだよ。
だから家で吸うのはやめた。
以前ならそれを不自由だと感じただろうけど、
今はそんな風に思わない。
サユや紗彩の為だったら、変わるのは億劫じゃないんだ」
「英治」
「何だか幸せじゃねぇ? そう言うのって」
「……そうだな」