幸せ家族計画


「ただいま」


玄関扉を開ける紗彩に迎えられて、英治は表情を緩める。


「おかえりなさい。達雄もいらっしゃい。久しぶりね」

「そうだな。……綾乃は?」

「いるわよ。紗優と遊んでくれてるわ。まあ入って?」

「ああ。お邪魔します」


飲んだ英治を送って、マンションの入り口まで来た事はあるけど、
実際中に入るのは初めてだ。


「ああ、ごめんね? 汚くしてて」


サユちゃんのものだろうか。

玄関には外で使うおもちゃがプラスチックのバケツに詰め込まれた状態で置いてある。

子供というのは、その姿が見えなくてもそこら中から存在感を放つんだななんて思いながら、中へと入った。


「サユ、ただいま」


英治の顔が一瞬で緩む……というよりは崩れる。

サユちゃんを溺愛してると自分で豪語するだけはある。
会社では絶対聞かないような甘ったるい声に思わず笑ってしまう。


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