幸せ家族計画
「お邪魔してます。……あの」
その声に、ソファの方に目をやると、頭をさげている綾乃の姿が見えた。
サユちゃんと読んでいたのか、手元には絵本を持っている。
意図的でもないのにお腹の辺りに目が行ってしまう。
今までと全然変わらないその細いウエスト。
本当に赤ん坊が居るんだろうか。
「お父さん、お帰りなさい!」
「風呂は入ったのか? もう寝る時間過ぎてるぞ?」
「ママが週末だからいいって」
「でもそろそろ寝ないとな」
頭を撫でられて、サユちゃんが嬉しそうに笑う。
「サユちゃん、こんばんは。これお土産」
俺が差し出した袋を受け取り、中を見て満面の笑顔を作る。
「プリン、大好き!」
「サユ、今日はもう駄目よ。明日頂こうね」
紗彩に諭されて、不満ながらも頷くと、サユちゃんは目をこすって大人たちを見た。
「じゃあ、サユ寝るね。お休みなさい」
「紗彩、一緒に行ってやれよ」
「うん。じゃあ任せるわ。ごめんね、達雄も綾乃ちゃんもゆっくりしていって」