幸せ家族計画
「確かに、紗彩とは付き合ってたんだから、気にするなとは言えないけど。
でも俺がお前に会いに行ったのは、紗彩の一言があったからだ」
「前に言ってたやつ?」
「いいや。親心では綾乃を幸せに出来ないっていうような内容の言葉。あいつらの結婚式の2次会の時に言われたんだ」
「親心……」
「お前が気にするなら、紗彩とは距離を置くつもりだけど。
英治は俺の親友だし、紗彩も友達みたいなもんだから。全く関係を断つのは無理だと思う。
それでも良いか?」
精一杯の自分の気持ちを、ちゃんと言葉にする。
綾乃の顔が不安そうに揺れるのを見ると、また俺が不安にさせてるのかと、心配になるのだが。
「分かった」
「アヤ?」
「全くは無理だけど気にしないようにする。
私も、紗彩さんの事好きになれそうな気がするから」
綾乃はにこりと笑って、俺の不安を吹き飛ばした。
「アヤ、……ありがとう」
「ううん。私もう、お母さんになるんだもん。強くなる」
「そうだな、俺もお父さんになるんだな」
顔を見合わせて、にこりと笑って手をつなぐ。
熱を持った掌が、ほっこりと気持ちを和ませてくれるから。
これからもずっとこんな日々が
いつまでも変わらずに続きますようにと、
心から願う。
【fin.】