幸せ家族計画
「きゃ、ほら」
「何だ、案外早いな」
紗彩が少し乱れた髪を直した後、扉を開ける。
「サユちゃん寝たか? 俺たちもう帰るな」
「ああ」
小声で話しながら、サユの部屋を出る。
どこかさっぱりとした顔の達雄。
俯きつつも、口元に笑みの浮かぶ綾乃ちゃん。
この二人の話しあいも上手い事いったんだろう。
ほとぼりの冷めた頃にでも、また飲みに誘って聞きだしてやろう。
「紗彩、悪かったな。でも綾乃の話聞いてくれてありがとな」
「いいえ。良かったらまた遊びに来て? 綾乃ちゃんも一緒に」
「はい。ありがとうございます」
紗彩の笑顔に、二人も笑みで返しながら、手をつないでエレベーターへと向かっていく。