幸せ家族計画


「仲直りできたみたいね」

「そうだな。結局なんだったんだ?」

「不安だったんじゃない? 妊娠するとどうでもいい事が不安になったりするものよ」

「紗彩も?」

「え?」

「紗彩もそうだった?」


玄関の扉を閉めつつ、彼女の行く手を腕で阻む。
何だか今日は傍から離したくないようなそんな気分だ。


「な、なに?」

「サユがお腹に居た時、マタニティブルーとかあったの?」

「あ……あったかな。なかったかも。
何もかもが初めてだったから、訳が分からないうちに過ぎて行ったような気がする」

「ふうん」


両腕を壁についているので、その間に居る紗彩は戸惑ったように目を動かしてる。


「どうしたの? 英治くん」

「じゃあさ」

「うん」

「もう一度妊娠したらどうなると思う?」

「は?」


俺を見つめ返す彼女の表情を言葉で表すならば、キョトンとでもいった感じか。

あまりにも驚いたようなその顔がおかしくて、腹の奥から笑いが込み上げてきた。
彼女の肩に顔をうずめて、堪え切れずに笑いだす。


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