幸せ家族計画
「……っくっくっ」
「ちょっと! なんで笑うの英治くん!
自分から話を振っておいて酷い」
「ご、ごめん」
「もうなんなの」
「だから」
そのまま彼女の背中に腕を回す。
ぎゅっと抱きしめると、簡単に腕の中におさまってしまう。
相変わらず薄い体が少し心配だ。
もうちょっと太ってもいいんじゃないか?
「紗彩が欲しい」
「え?」
「もう一人つくろう?」
「……」
紗彩の動きが止まる。
表情を見ようと体を離すと、真っ赤になって俺を見返してくる。
「……達雄のところに出来たから欲しくなったんでしょう」
「分かるか?」
「分かるわよ! あなた時々子供みたいなんだもの」
手が伸びてきて、頬をつねられる。
でも遊んでるような力で、彼女が本気で怒っていないのが分かる。
俺の事を子供みたいっていう女も、世の中に一人しかいないよなぁと思いつつ、
それが自分の妻であることがとても嬉しい。
彼女の前で、俺は多分力が抜けてる。
気取っていなければなんて思わなくてもいいくらい、自然体の自分で楽に居られる。