幸せ家族計画
私たちは向かい合わせに腰かけ、すぐにやってきたウェイトレスさんに注文をした。
「パスタのランチセット2つ。飲み物はコーヒーとオレンジジュースで」
ウェイトレスさんが注文を復唱して立ち去ると、ふうと息を漏らしながら呟く。
「なんか、感動もんだよな」
「達雄は男の子と女の子どっちがいい?」
「どっちでもいいよ。今8週目だっけ。楽しみだなぁ」
笑う目尻に皺が寄る。
この子が生まれる頃、達雄はぎりぎり36歳か。
元気な赤ちゃんについていけるのかしら、なんていらない心配までしちゃう。
「私は男の子がいいな。達雄に似てる子がいい」
「男だったら母親に似るんじゃないか?」
「そうとは限らないでしょ」
「だったら俺は綾乃似の女の子がいい」
「ダメ。達雄は私の小さい時見てるからいいでしょ。男の子がいい! 達雄の小さい時に似てたら嬉しいもん」
私の反論に、達雄が顔を赤くして黙りこむ。
しまった。
興奮して恥ずかしい事まで言っちゃった?
我に返って黙りこむと、沈黙の一瞬が生まれる。