幸せ家族計画
喉をつまらせているうちに、先に達雄が笑いだした。
「まあ、どっちでもいいか」
「そうね。健康に生まれてくれればそれでいいのよね」
つられて笑うと固まりかけた空気も戻る。
安心して窓の外を見ると、バス停に見なれた人が立っていた。
「達雄、葉山さんだ」
「え? あれ、ホントだ。おーい、英治!」
窓の外に向かって大声を出しても聞こえないとは思うけど、たまたまこちらを向いた葉山さんは、達雄の大ぶりの手に気が付き笑顔をみせ、中へと入ってきた。
「奇遇だな。達雄、今日の休みはデートの為だったのか?」
「違うよ。病院に行って来たんだよ。初診くらい一緒に行きたいだろ?」
「過保護だねぇ」
にやりと笑うと、私の方を向き優しそうな声で問いかける。
「綾乃ちゃん、体調はどう?
俺も座っていい? まだちょっと時間あるんだ」
「英治はどこ行ってたんだ?」
「午前中営業について行って、プレゼンしてた。ほら、ここから見えるあのビルだよ。
営業はまだ回るとこあるからってさっき別れたところで、俺は今から会社に戻るとこだけど。
まあ、まだ昼休みの範疇だから、ちょっと休憩」