幸せ家族計画
「昨日良く眠れなくてさ」
「お前色々考え過ぎたんじゃないの?
明日はどの道で行こうとかなんとか。
いつもの心配性で」
葉山さん、多分図星です。
私は今朝の達雄の様子を思い出してちょっと笑ってしまった。
「病院も終わって安心したからかもね。酷いならトイレ行ってきたら?」
「ああ、ちょっと行ってくる」
青い顔のまま、なんとなくフラフラとトイレに行く達雄をじっと見ていると、クスクスと笑う声が聞こえてきた。
葉山さんが肩を揺らして、必死に声を噛み殺している。
「すいません。達雄ったら」
「いや、相変わらずだよね。
俺、アイツとは20歳からの付き合いだけど、ずっと綾乃ちゃんへの心配ごとばかり聞かされてた気がする」
「ヤダ、何言ってたんですか!」
「当初の頃は、新しく彼氏が出来たとか、
化粧に目覚めたとか、まあ細々した事まで色々。
何かある度に腹痛くなってさ。
アイツの体調って綾乃ちゃんの一言ですぐ決まるんだぜ?
あの心配症は病気みたいなもんだよね。
一生治んないんじゃない?」
「あは」
そのセリフに思わず笑ってしまうと、カップを傾けながらも葉山さんの視線がこちらを向く。