幸せ家族計画
見られてると思うと、緊張しちゃう。
フォークを動かす手が止まってしまった。
「……幸せそうだね」
「え?」
「まだ俺が二人の事情を知らなかった頃、あまりにもシスコンぶりが酷いからさ、
『いっそ襲ってすっきりしちまえば』って言った事あるんだよ。
そしたら『血はつながってない』って言うだろ?
『だったら障害なんて無いじゃないか』って言ったんだ」
「……それで?」
思わず身を乗り出してしまう。
だって。
達雄の20代の頃の話って、実はほとんど知らない。
私はその頃丁度学生だったから、自分の事で手一杯で彼の事をゆっくり見つめることなんてしていなかった。
「『俺じゃダメなんだ』って言ってた」
「え?」
「『俺じゃ幸せに出来ない』って。
アイツなんでかそう思い込んでたみたいだよ。
俺が『じゃあ俺に紹介しろよ』って言ってもダメって言う癖に、自分でもダメだって思うなんて理解できないなって正直思ってた」
「そうなんですか」
当時、私は中学生が高校生あたりか。
確かにあの頃は、彼の事を男性という意識では見ていなかった。
だから?