幸せ家族計画
「過去は、気になりますか?」
「んー、そうでもないけど。
多分離婚だったらそんなに気にならないけどね。
……思い出ってキレイになるだけだからなぁ」
そう言った表情は苦笑。
きっと、紗彩さんが大事だからこそ、彼女には伝えられない気持ちなのだろう。
「でも、この間。
紗彩さんとても幸せそうに見えました」
「そう?」
「ええ。私、本当は紗彩さんの事、ちょっと嫉妬してたんです。達雄の元カノだから。
だけど、実際に見たら『サユちゃんのお母さんで葉山さんの奥さん』っていうイメージがちゃんと出来上がって。
なんて言うか、私も安心しました」
「そうか。良かった。できれば気にしないでやって。
紗彩が達雄とどうこうなる事はもう2度とないよ。
俺がさせないし。達雄も絶対しないだろ?」
「ふふ。そうですね」
「それにしても達雄、遅いけど大丈夫かな」
その時、店の奥のトイレの扉が開いた。
少し顔色が戻ってきた達雄がフラフラとやってくる。
それを見て、葉山さんは立ちあがった。