幸せ家族計画
「ねぇ、ママ。この服可愛いかな」
持っている服の中では一番可愛いと思う、刺繍のついたベージュのTシャツと、チェック柄のチュニックを重ね着する。
「はいはい、可愛いわよ」
ママの返事は適当。
もう! 本気にしてくれない!
「サユは何着ても可愛いぞー」
お父さんの返事も嬉しいけど当てにならない。
何着てもそう言うじゃないの。
仕方ないから、自分で鏡でチェック。
うん。可愛い……と思う。
髪はママがいつもみたいにツインテールにしてくれたから、
この間お父さんが買ってくれたシュシュをつけよう。
「そんなにサトルってやつがいいのかね」
「英治くん、そういうこと言わないの。
可愛い子だったよね。
もう1年くらい見てないから、大きくなったかしら」
ママの言葉にドキン。
そうだ。1年以上たつんだもん。
変わっちゃったかなぁ。
小学校に入ってから、男の子たちは少し意地悪になった。
サトルくんもそう?
だったらイヤだなぁ。
優しいサトルくんが好き。
わたしが泣いたら、一緒に泣いちゃうようなサトルくんがいいよう。