幸せ家族計画


「だ、だれ?」


サトルくんは驚いたように顔を上げる。
わたしは少しだけ得意な気分になった。


「わたしのお父さん!」

「え?」

「ママ、さいこんしたの。わたしね。お父さんが出来たんだよ!」


これ、ずっとサトルくんに教えたかったんだ。
だからキャッチボールも練習できるし、上手になったんだよって。


「わ、お、下ろしてください」


サトルくんは、お父さんの腕から逃げるように降りて、わたしの方を見る。

右手の空いたお父さんは、わたしを両腕で抱えるようにしてくれたから、私もお父さんの首にしがみついた。


「サユちゃん」

「ん?」

「あっちで遊ぼ?」

「うん!」


わたしはお父さんに下ろしてもらって、サトルくんの手を握る。
どこか騒いでも怒られないところあるかなぁ。

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