幸せ家族計画

「あっちから中庭に出れるの」

「わかった。ママ! サトルくんと遊んでくる」

「いいけど。戻ってこれる? 
サトルくん、自分でお母さんの病室まで戻れるの?」

「うん。大丈夫。501号室。ちゃんと覚えてるよ?」

「じゃあ、紗優の事お願いね」

「うん」


サトルくんの手が、ぎゅってわたしの手を握り返してくれた。
わたしは嬉しくって、ママとお父さんに軽く手を振って一緒に走り出した。


「廊下走っちゃダメよ! 病気の人がいるところだからね!」


ママの声が聞こえる。
ごめんなさい。
でも嬉しくって、じっとしてられないよう。


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