幸せ家族計画
「だから今度キャッチボールしよ?」
「そんな、可愛いカッコじゃできないよ。ボクいっつも泥だらけになるよ?」
「大丈夫。お父さんとやる時はスカートでもできるよ。
とりやすいところに投げてくれるもん」
サトルくんは木の枝を持って地面にぐるぐる丸をかいてたけど、力を入れたのか、それがボキリと折れてしまった。
「……ボクがいなくても、楽しそうだね」
「え?」
「お父さん、お父さんって。
もうお父さんが居るから、ボクと遊ばなくっても良かったんだ。
だからずっと会いにきてくれなかったんだ」
「え、ちょっと、サトルくん。違う」
「何だよ! 本当のお父さんでもないのに!」
サトルくんの言葉が、信じられなかった。
どうして?
サトルくんがこんなこと言うなんて。
優しくて、泣き虫で、
いつだってわたしの話、ゆっくり聞いてくれたのに。