幸せ家族計画
サユには好きな男の子がいる。
本人が自覚しているのかどうかは知らないが、1年も会っていない男の子の事を、いまだに話し続けるなんて。
しかも、あんな小さな子がだ。
あり得ないだろ、って思う。
義理の娘とは言え、サユの事はすごく可愛い。
どこか必死に寂しさを堪えているのが、昔の自分と似ているって言うのもあるけど。
変に意地っ張りなところなんかは紗彩に似ていて、小さい頃はこんな風だったのかな、なんて思わせてくれる。
だから心配だ。
小学生の恋愛がうまくいくはずがない。
仮に上手くいったって、永遠に続くもんじゃない。
できればサユを傷つけたくない、なんて思うのは、親の身勝手なんだろうか。
「ねぇ。これ、似合う?」
先日買ってやったシュシュをつけて、あからさまにおめかししたふうなサユが、俺の目の前でくるりと回る。
「似合う。可愛いぞ」
「えへへぇ」
花咲くような笑顔。
このおめかしが、サトルって奴に会うからっていうのがいまいち面白くない。