幸せ家族計画


「そんなにサトルってやつがいいのかね」

「英治くん、そういうこと言わないの。可愛い子だったよね。
もう1年くらい見てないから、大きくなったかしら」


湯呑を片付けようとする紗彩が、軽く俺の手の甲をつねっていった。

くそう、たしなめられた。

夜は覚悟してろよ
なんて、変な八つ当たりをしてしまう。


「……車、入り口に回してくる」

「ええ」


まだ準備に手間取っているサユを居間に残して、玄関に行く。


「紗彩」

「何?」

「ん」


紗彩の首の辺りを掴んで、引き寄せる。
唇に、軽くキス。

彼女は驚いたようにこっちを見た後、軽く睨んだ。


「いきなり何?」

「や、精神安定剤として」

「……サトルくんにヤキモチ焼いてるんでしょ。サユの事となるとこれだもの」

「お見通しだな、さすが紗彩」

「きゃ、もう!」


今度は耳の裏側にキスをする。
最近見つけた紗彩の弱点だ。


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