幸せ家族計画
「俺もそう思ってました。
一人妊娠できてるのにどうして二人目がダメなんだって。
けれど、案外多いんだそうですよ。
妻は産後割とすぐ仕事復帰したんです。
ストレスとか色々、多分あったんだと思います。
体の疲れから卵子に力が無かったりとか。
まあ色々な理由を言われました」
「……」
「それで、俺も目が覚めましたね。
週に1度のサトルとのキャッチボール。
それを免罪符に、ずっと妻に育児を任せきりにしてたんです。
共働きなのにね。
一緒に不妊治療に臨んで、色々話をして。
彼女がたくさんの事を不安に思っていたことを、その時ようやく知ったんです。
彼女は強いから大丈夫だ、なんて勝手に思い込んでた自分を呪いましたよ。
そうしてやっと妊娠した、と思ったら今度は双子ですからね。
今度こそ俺も本腰いれて子育てに乗りださないと」
「それは、大変でしたね」
「はは」
「じゃあ、子育てに慣れた頃、俺にも色々教えてください。
聞いてると思いますが俺たちは再婚なので。
赤ん坊を触るのは初めてなんです」
「サユちゃんのお父さんは初婚なんですか?」
「ええ」
「じゃあ、俺の方が先輩だ」
少し胸をそらした仕草が面白かった。
そのまま話をしつつ、サユの事が心配になった俺は、
「少し様子を見て来ます」と言って、病室に戻ろうとする中津川さんと別れた。