幸せ家族計画

サユはじきに目を拭いて、俺にしがみついていた手を緩めた。


「サトルくん。わたし、イヤなこと言った?」


サトルは、首を振る。
外れちゃうんじゃないかって思うほど激しく。


「怒らせてごめんなさい」

「違う。サユちゃん、……ごめん」


落ち着いたサユに対し、サトルはもう泣きそうだ。
どんなやり取りがあったのかは知らないが、サトルの方も結構ショックだったんだろう。


「とりあえず、二人とも戻ろう?」


二人を促しながら廊下に戻ると、話終えた紗彩がやってきた。
サユの顔を見て一瞬驚いたようだったが、俺の目配せを察知して何事も無かった風にふるまう。


「そろそろ帰るわよ?」


帰る前に話をさせてやった方が良いかもしれない。
俺は紗彩を自販機辺りまで連れ出して二人きりにさせてやろうかと考えた。

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