幸せ家族計画
まわりの人がじろじろ見て行く。
俺はサトルを抱き上げて、再び中庭まで出た。
その頃にはサトルも落ち着いてきたのか、大泣きからしゃくりあげに変わっていた。
「大丈夫か?」
「っう、うん」
「サユとケンカした?」
「ボク、ヒドイ事言っちゃった」
「何?」
「だってサユちゃん。おじさんのことばっかり話すんだもん」
そのまま、うわーんとまた一泣き。
参ったな。
つまりあれか?
サトルは俺にヤキモチを焼いたってことか?
「サユ、サトルくんと会うの楽しみにしてたぞ?」
「ボクだって。すごく楽しみだった。
サユちゃんと会ったら、何しようってずっとずーっと考えてたのに。
なのに、おじさんのことばっかり褒めるんだ」
「サユは、ずっとお父さんがいなかったんだ。
だから俺が父親になって嬉しかったんだよ。
それはわかるだろ?」
「だってボクだって、おかあさんが入院してから寂しかった。
でもサユちゃん、お父さん居ないのに笑ってたから。
だからボクも笑わなきゃって頑張ってたのに。
サユちゃんは、あんなに嬉しそうに……うわあああん」
「サトル……」