幸せ家族計画
駐車場の車の後部座席では、紗彩がサユの背中をさすっていた。
「ママにも言えないこと?」
「ううん。そうじゃないけど。……あ、お父さん!」
窓から覗く俺にいち早くサユが気付く。
俺は運転席に乗り込みながら、手を伸ばして紗彩から鍵を受け取った。
「そのまま帰っていいか? 買い物とかある?」
「ううん。良いわ。うちにあるものでなんか作るから」
元気のないサユを気にしてか、紗彩まで元気が無くなっている。
これじゃあ、赤ん坊の事を話すのも無理そうだ。
家に戻ると、サユは自分から手洗いもうがいもして、
「ちょっと一人にして」
と言ってそのまま自分の部屋に入ってしまった。
紗彩はというと、キッチンでしょげたように俯いている。
「なにいじけてんの」
「だって。
……やっぱり小さい時に構わなさすぎたのかいけないのかなぁ。
あんなにあからさまに落ち込んでいるのに、紗優、私に何も言ってくれない」
「サユは紗彩に心配かけたくないんだろ? 前からそうだったじゃないか」
「それが悔しいって言ってるのよ。
今更だけど、やっぱり自分のしたことっていつか自分に返ってくるんだわ。
悩み事さえ相談されないなんて親なんて、なんて情けないの」
「紗彩」