幸せ家族計画
少し低い声を出すと、驚いたように顔を上げる。
その口元をつかまえてキスをする。
「ちょっ……」
跳ね返そうとしてくる手を掴んで、反対の手で腰を引き寄せる。
最初はもがいていた紗彩が、ようやく大人しくなった頃、強く握っていた腕を離して、背中をポンポンと叩いた。
「もう!」
「そっちこそしっかりしろよ。
つられて落ち込んでどうすんだ。
元気づけてやりたいんなら、他にやる事あるだろ。
サユだってもう2年生なんだ。自分で考えたい事だってあるんだろ?
大丈夫だよ。
サユって紗彩そっくりじゃん。
意地っ張りで。
でも自分の中で整理がついたらちゃんと話に来る。……違うか?」
紗彩が驚いたような顔でこっちをじっと見ている。
俺もそらさずにずっと見ていると、根負けしたように紗彩が笑いだした。