幸せ家族計画
「……ふふ。そうね」
「少し待っててやろう?」
「うん。あの子の好きなハンバーグつくってあげよう」
「そうだな。買い物行かなくて大丈夫か?」
「そうね。ひき肉が足りないから。私行ってくるわ。
英治くんはここでサユが部屋から出てくるの待ってて?」
「わかった。気をつけて行けよ」
ようやく元気になった紗彩の後姿を見て、少し安心する。
さて。
紗彩にああ言ったものの、サトルの言葉はサユに伝えないとな。
こっそり静かにサユの部屋に近付き、そっと覗きこむ。
「あれ?」
そこには、サユの姿は無かった。
「どこに行った?」
軽い焦りを覚えながら、俺は辺りを見回した。
【fin.】