幸せ家族計画


「何の資料?」

「えっとね。今までの資料をまとめてるの」

「なんで?」

「4月の懇談会の時にね、すごく父母間の行き違いが多いって話題になって。学校行事なんてある意味毎年同じことの繰り返しなんだから文書化すればもうちょっとスムーズにいくんじゃないかと思った訳」

「うん。それはそうかも」

「で、言いだしっぺだから私がやることになって……」


じっと見ていると、段々紗彩の口調が尻すぼみになっていく。

なんだよ。
俺はそんなに怖い顔してんのか?


「怒らないでよ、英治くん」

「怒ってる訳じゃないけど。なんで引き受けた? 今の自分の体調分かってる?」

「引き受けた時は妊娠してなかったもん。あの時にやっちゃえば良かったんだけど、後回しにしてたから。
今度の参観日にもって行かなきゃいけないの」


俺は振り向いてカレンダーを確認する。
参観日は明後日の金曜日。

今日明日中につくらなきゃならない資料、という訳か。

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