幸せ家族計画
言われたとおりに資料をつくりつつ、やはり実際行事に出てないと分からないことも多いことを痛感する。
紗彩に聞けば嫌な顔もせずに教えてくれるが、俺もPTAを名乗るからには、もうちょっと学校行事に積極的に参加してみようかな。
「参観日、俺がいっちゃダメ?」
「え? でも。お母さん方ばっかりよ? たまに男親が来る家もあるけど」
「俺行きたいなぁ」
「でも仕事は?」
「あさってだろ? 会議とかがないから何とかなる」
「……紗優がいいって言ったらね」
先ほどまで嫌な顔一つしなかった紗彩が、ふいと顔をそらすのが気に入らなくて。
背中まで伸びているストレートの髪のひと房をつまみあげて唇をあてると、恥ずかしそうに肩を縮ませた。
「ちょ、英治くん」
「なんで不満げ?」
「や、……あの。だって。でも」
「やっぱ俺じゃダメなの?」
「違う。そのでも、ちょっとヤダなって」
「なんで」
何故嫌がる。
「義理の父親じゃ駄目なのかよ」
語気を強くして言うと、困ったように紗彩が俺の方を見た。