幸せ家族計画

 学校に着くと、一瞬空気がざわめく。

やはり平日の参観は母親が多い。

母親の視線もそうだが、やたらに子供の視線も感じるような気がする。

今は休み時間なんだろうか。
教室の窓から、自分の親に向かって手を振る生徒が数人いる。

サユのクラスはどこだっけ。

2年1組だったよな。


昇降口に入り、スリッパに履き替えてる間に、サユがやってくる。


「おとうさん!」

「おーサユ。教室どっちだ?」

「こっち」


腕をとられて引っ張られて歩いていると、あっという間に子供たちに取り囲まれる。


「サユちゃんのおとうさん?」

「大きい」

「かっこいい!」


肩に乗ってくる少年、腕を引く少女。
小学生とはこんなに人懐っこいものなのか。


「重いぞ」

「わあー、高い」


サルのようにするすると背中まで上った少年が嬉しそうな声を上げる。

乗られるのはまあいいのだが、
スーツが踏まれた事がショックだ。

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