幸せ家族計画
「すみません。資料ありがとうございました」
「ええ。でもこれって、父兄がするもんなんですかね」
「ああ。葉山さん、……奥様の方ですけど。快く引き受けてくださって。
色んな仕事しり込みされる方が多い中で本当に助かるんですよ」
「まあ、そうかな。頼まれると引き受けるタイプだと思いますが。
妻は今妊娠中なんで、あんまり余計な仕事回さないでほしいんですよ」
「妊娠されたんですか?」
なんだその、あからさまに残念そうな顔は。
なんだかちょっとイラつくな。
俺も機嫌の悪さが顔に出たのか、前原先生はギョッとした顔をした後、愛想笑いを浮かべて、
「じゃあこれ、コピーして皆さんにお配りしますね」
とコピー機の方へ向かった。
俺はそのまま教室に戻るつもりだった。
しかし、聞き慣れたエラー音がそこらじゅうに鳴り響く。
「あれ? あれ?」
紙詰まりだ。
それくらいすぐ判断しろよ。
そう思うけど、前原先生は困った顔をするばかりで。