幸せ家族計画
紗優が眠りに着いたのは夜の9時半。
割と規則正しい生活をしてくれるのは、以前同居していた母のお陰だ。
しつけに厳しいのには閉口していたが、こうして生活習慣がちゃんと身についているところを見ると、やはりありがたい部分もある。
「紗優、寝たわよ」
「お疲れ。ちょっとこっち来いよ。横になれば?」
ソファでテレビを見ながら手招きする彼。
甘えたい気分になって、そっと寄り添う。
「つわり、辛いか?」
「ううん。大丈夫。気持ち悪いのはきついけど、ずっとな訳じゃないから」
「紗彩は何でも大丈夫って言うからな」
そう笑ったかと思うと不意に肩をずらされて、寄りかかっていた私の頭が倒れるように英治くんの膝におさまってしまった。
「え、ちょっと」
「たまにはこういうのもいいデショ」
「や。あの」
カーッと顔が熱くなってくる。
結婚してもうだいぶ経つけど、膝枕って初めてじゃないのかしら。
英治くんは私の額にかかる髪を掬いながら「そう言えばさぁ」なんて特に気にした様子もなく言う。