幸せ家族計画


「ちょっと紗彩に頼みがあるんだけど」

「なに?」

「サユの誕生日の事で」

「うん」


内緒話をするように、耳元で話をされて。
くすぐったくて内容が頭に入ってこない。


「え?」

「だからさ。電話してくれる? 俺がかけてもいいんだけど」

「ううん。私がかけるけど。良くそんな事思い付くね、英治くん」

「いや、迷ってた時美羽ちゃんが、何でもいいんだって言ってくれたからさ」


聞き覚えのない女の子の名前。

思わず起きあがろうとしたら英治くんの鼻と頭が勢いよくぶつかる。


「紗彩、痛い」

「美羽ちゃんって誰よ!」

「あー、いや。ちょっと待て、誤解すんな」

「いきなり女の子の名前でたら誤解するわよ」

「違う。仕事での知り合いの男の彼女」

「ホント?」

「彼女……だと思うけどな。あの雰囲気は。本人たちは上司と部下だって言ってたけど」

「もう、最初っから説明して」


もう一度、膝の上に頭を戻す。
だってなんかイライラするもの。

昼間だって紗優にとられたような気分になる時があるのに。
今だけは私が独占したい。

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