幸せ家族計画
そうして迎えた紗優の誕生日。
今年は丁度日曜日で、運よく天気も上々だった。
「今日はサユの好きなところに連れてってやるからな」
「好きなとこって? 水族館?」
「まあとりあえずどうぞ? お姫様」
英治くんにエスコートされて、お姫様扱いされた紗優はご機嫌で歩き出す。
お出かけするのを意識してか、裾にフリルのついた薄いブルーのワンピースを着ている。
そして頭には麦わら帽子。
いつ買ったんだろう。
きっと英治くんだな。
特に記念日とかじゃなくてもちょこちょこ何か買ってくるのは困ったものだ。
冷房の効いた車内では、珍しくナビゲーションシステムが作動してる。
『次ノ信号ヲ右折デス』
聞き慣れない機械音声に紗優は目を丸くして見いっている。
「どこに向かってるの?」
「それはお楽しみ」
いたずらを仕掛けるような顔で、英治くんが言い、紗優はわくわくした顔で窓の外を見る。
『目的地周辺デス』
ナビがそう告げる。
辺りは住宅地だ。
私は携帯電話をとりだし、電話をかける。