幸せ家族計画
「もしもし、葉山です。ええ、近くまで来ました」
「ママ?」
その時、道の先から出てきたのは、サトルくん。
後から続くように双子ちゃんを一人ずつ抱えた中津川夫妻が現れた。
私だけが車から降りて挨拶をする。
「こんにちは、中津川さん」
「こんにちは。悪いわねぇ。でも助かるわ、最近サトルをどこにも連れていけないから」
「いいえ。こっちこそ無理いっちゃってごめんなさい」
「サトル、いい子にするのよ」
「うん」
私は二人からサトルくんを預かり、車の中まで連れてきた。
中では、紗優がキョトンとした顔でこっちを見ている。
「どういうこと?」
「これが、私たちから紗優へのプレゼントよ。さ、サトルくん乗って?」
「は、はい」
後部座席で二人が並ぶ。
だけどどこかぎこちなく、目があっては離れて、といった感じだ。