幸せ家族計画
「先行ってていいぞ。サユはもう慣れっこだろ?」
「うん! サトルくん何見たい?」
「えっとね。ペンギン」
「じゃあこっち!」
二人は仲良く駆け出していく。
「なんか魔法使った?」
英治くんがそんな風に聞くから、おかしくなっちゃう。
「笑顔の方が素敵よって言っただけ」
「なるほど。確かにね」
並んで館内に入ると、妙に魚の匂いが気になる。
でも今日は紗優の誕生日だし、ゆっくり楽しませてあげたいし。
そう思って我慢していると、急に英治くんが私の手を引っ張った。
「行くぞ」
「え?」
手をつないで急ぎ足で歩く。
結婚する前にもこんなのあったな。
初めて手をつないで、すごくドキドキした。
何だか懐かしい。
途中で止まって見ていた紗優たちも追い越して、一気に屋根が開放されたイルカプールの前まで来る。