幸せ家族計画
「中よりはマシだろ? 顔色悪いよ」
「ああ、ありがとう。気付いてたのね」
「黙るからすぐわかる」
「そっか」
でも、気付いてもらえるのは嬉しい。
英治くんってやっぱりマイペースなようで気配りさんだ。
「紗優喜んで良かったわね」
「ああ。まあね。サユはしばらく会わなくてもいいって言ってたけど、覚えている最後の顔が泣き顔ってのは気分良くないだろうしな」
「そうね」
「お父さんになって初めての誕生日プレゼントが男とのデートってのも癪には触るけど」
そういって、拗ねたように上を向く。
こんな表情は、結婚する前には見たことが無かった。
「ヤキモチ焼くんだ。いいなぁ紗優は」
「なんだよ」
「私なんてヤキモチ焼かれないもの」
驚いたように顔を凝視されると、こっちが照れるんですけど。
「そんなことない、ちょっと妬いてるよ。赤ん坊に」
「え?」
「早くママを楽にさせてくれないかな」
そう言ってお腹をさすりながら、いつの間にか私たちの距離が縮まる。
肌が触れ合うほどくっついているのは、本当は暑いはずなのに。
何だか離れたくなくて、その肩にもたれかかった。