幸せ家族計画
今日は休みだからアイツも家族サービスかな。
紗彩、すまん。そう思いつつも鳴らした電話は、三コール目辺りでつながった。
『もしもし?』
呑気そうな声。
いいなぁ、お前はいっつも余裕があって。
「英治か? 俺、達雄だけど。ちょっとさ、今日時間あるか?」
『え? あー、今暇だよ?』
「紗彩は?」
『紗彩はちょっと横になってる。つわりがあるんだ。サユは友達の家に行ってるから』
「出ても大丈夫そうか?」
『いいけど。あんまり長くはちょっと』
「大丈夫。ちょっと相談があるだけだから」
『わかった。どこ行けばいい?』
「俺、車でそっちまで行くよ」
『了解』
淡々と会話をして電話は切れる。
紗彩はつわりか。そういや綾乃ってあんまりつわりないなぁ。
まあいい。そうと決まれば動くのみ。
家の鍵をかけ、駐車場へと走り出した。