幸せ家族計画

気がつけば、もう紗優は寝息を立てていた。
起こさないようにそっとベッドを抜けだし、彼が消えた浴室へのドアを眺める。


もう来なくていいって言われたようなものだ。

ここで行くのは何だか悔しい。

だけど。


浴衣をするりと脱いで、バスタオルを体に巻きつける。


あなたも私は来ないと予想しているだろう。
たまには、それを裏切って見るのも悪くない。


ゆっくりドアを開けて覗きこむと、彼は窓の外の景色に見とれていた。

体をドアの隙間から滑り込ませて、ゆっくり近づくいていく途中に、気配を感じたのか振り向いた。


「紗彩?」


ポカンとした顔がおかしい。
時々こうやって、彼を驚かせるのが何だか癖になりそうだ。


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