幸せ家族計画
「あの、すいません。お名前なんでしたっけ」
「あ、墨田です」
「俺は西崎です」
自己紹介をし終えてようやくホッとする。
「美羽ちゃん、ホラ決めて。珈琲こっち持っておいでよ」
「あ、じゃあ」
彼女はメニューからシンプルなケーキを一つ注文し、自分が前に居たカウンターから珈琲を持ってきた。
「お邪魔します」
そんな風にわざわざ言う当たり、真面目な子なんだろうなと思う。
彼女の頼んだケーキはすぐにやってきて。
俺たちはそれぞれに目の前にある軽食とつまみながら、話をした。
やがて英治がサユちゃんの誕生日の話をしだして、墨田さんは嬉しそうに何度も頷いていた。
俺がそれをボーっとみていると、英治が突然にやりと笑い、俺の肘を小突いた。
「女の子の気持ちは女の子に聞いてみたらどうだよ」
「は?」
「美羽ちゃんはいい相談相手だぜ。さっきの聞いてみろよ」
「おい、英治!」