幸せ家族計画
「仕事が忙しくて、体調が大丈夫かとか。気になって仕方なくて。
綾乃が仕事が好きでやめたくないなら、無理にやめろとは言わないけど。
できれば、……家に居て欲しい」
勢いに任せて言いきる。
綾乃は驚いた顔をして、俺をじっと見ている。
やっぱり重たいか。重いよな。
どんだけ面倒な夫だよ、俺は。
「心配?」
「……うん」
「胃が痛くなるほど?」
無意識に、手が胃のあたりをさすっているのを指差される。
俺って本当に、どこまでしまらない男なんだろう。
なんとなく綾乃の顔を見れなくなって下を向くと、ゆっくりと彼女が近寄ってきて、俺の肩に頭を乗せる。
「心配されてるなんて思わなかった。……嬉しい」
横を向くと、思いのほか近くにある綾乃の顔には、ほころんだような笑顔が咲いている。
予想外の反応に、俺はアホみたいにその口元を見続ける。
「ウザくない?」
「なんで? 嬉しいよ。
私、達雄の本音が聞けるの嬉しい」
「そうか?」
でも俺の本心を全部言ったら、かなりウザいぞ?