幸せ家族計画
「動いてないぞ?」
「あれー、止まっちゃった」
「なんでだよ。俺に触られるの嫌なのかな」
「あはは、そんな事ある訳ないじゃない。あ、ホラ」
「どれ?」
何度やっても、俺が手を置くと止まるらしい胎動。
「おかしいな。赤ちゃんも照れちゃうのかもね?」
なんて、屈託なく綾乃は笑うけど。
俺の知らない秘密を二人に共有されてしまったような変な寂しさを感じてみたりして。
こんな本音は、やっぱり情けなくて綾乃には言えない。
次なる悩みの気配を感じて、軽く腹のあたりをさする。
ああどうして。
悩みって尽きることが無いんだろう。
【fin.】