幸せ家族計画
秋の風が体中を包みこむ。
「お父さん、寒いようー」
背中にぴったりとひっついてくるのは娘のサユ。
「ああそうだな。そろそろ帰んないとな。もういいか? 必要な分みつけた?」
「うん」
今日は土曜日。
来週、サユが図工で使うという木の実や落ち葉を拾いに来ていた。
紗彩は今日は休日出勤。
もうだいぶ腹も大きくなってきてるというのに、つわりがおさまってからはまた精力的に仕事に取り組んでいる。
今回の仕事が、産休前最後の案件になるってのもあるのかもしれない。
きちんとやり遂げてから休みたい。
その思いは分からないでもない。
無理はして欲しくないが、協力するより他にないのだろう。
「ちょっと本屋に寄ろうか。欲しい本があるんだ」
「うん」
サユと手をつないで歩く。
その動きに合わせて、袋の中の木の葉や木の実がリズムを刻む。
まるでちょっとした演奏会みたいだ。