幸せ家族計画

「あ、サユ。俺にチーズのヤツちょうだい」

「はぁい」


お皿一杯にチーズスナックを広げて、二人で食べ始めた。

紗優がテレビを見始めたので、俺は電話をかける。

今日は土曜だから綾乃ちゃんは仕事だろう。
きっと退屈してるに違いない。

呼び出し音を聞きながら、何の話でからかってやろうかと考えていると、焦ったような声の達雄が出てきた。


『はい。英治、何か用か?』

「ちょっと相談あるんだけど。今暇?」

『あー。悪い。外出はできない。話だけなら聞くけど、何?』

「なんだよ。忙しいのか?」


いつもとは正反対の状況がなんだか悔しい。


『綾乃、おとといの検診で切迫早産って言われてきたんだ。自宅で安静にしてろって言われてて、今仕事も休んでる』


切迫早産。

紗彩が読んでた本で見たな。
臨月前に赤ん坊が生まれる危険性が高いんだっけ。

だから昨日、話す間もなく慌てて帰って行ったのか。

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