幸せ家族計画
写真は過去の投影だ。
写真を見ているようで、実際は彼がいた頃の自分と対峙している。
問いかけているのは多分、自分自身が意識していない自分の内面になのだろう。
「優しい娘だ。
それがあんたのつけた名前のお陰なんだとしたら、やっぱり簡単には決められない」
親として、子供に手渡す一番最初のもの。
彼はちゃんとサユに渡した。
俺はそれが出来るのか?
「俺は、ちゃんと父親になれてるのかな」
そして、普段は誰にも言えない弱音。
彼が収まっていたその場所に、俺はふさわしい姿で居るんだろうか。
食い入るように写真を見つめると、何だか笑われたような気がしてくるから不思議だ。
「似合わないねぇ」
自分でも、そう思う。
こんなに真剣に思い悩むことなんて、俺の今までの人生ではなかった。