幸せ家族計画
その時、玄関の方から物音がしたかと思うと、元気なサユの声が響いてくる。
どうやら紗彩が帰ってきたようだ。
見られたくは無いので、慌てて写真を仏壇の奥に入れる。
すると位牌にぶつかり、周りの色々なものを倒してしまった。
「やべ」
あたふたと戻しているうちに、和室の襖が開かれる。
「……英治くん、何してるの?」
驚いたようにそう呟く紗彩と、その後ろからキョトンとした顔をのぞかせるサユ。
「いや。ちょっとね」
「ユウの写真見てたの?」
紗彩が近付いてきて写真を元の位置に戻す。
ふわりと香る彼女の匂い。
あんまり濃い化粧をしてる訳でもないのに、何故かいい匂いがする。
「お父さん、決まった?」
問いかけてくるのはサユ。
「うーん。まだ」
頭の後ろをかきながらそう答えると、俺たちの顔を見比べた紗彩が不思議そうに問いかける。