幸せ家族計画
「何の話?」
「お父さん、今日ねぇ。赤ちゃんの名前でずっと悩んでるの」
ばらされたくない事をあっさりとばらされてしまう。
子供がいると、隠し事ってできないもんなんだな。
「名前で?」
紗彩は目を丸くして俺を見て、その後ふくらみの目立つ自分のお腹を撫でる。
「ふふ。英治くんが? 嘘みたい」
笑いだされてしまって、何だかすごく恥ずかしくなる。
ああ、いつも達雄ってこんな気分なんだな。
ちょっと反省しよう。だからと言ってやめる気はないが。
「それでどうしてここに?」
「……優さんの気分になってみようと思ったんだよ。
サユが生まれる時、どんな気持ちだったのかなって」
紗彩は慣れた手つきで仏壇の中を整頓しながら、感慨深げに微笑む。