幸せ家族計画
「ユウはそんなに難しく考えてなかったわ。
単に、紗優に自分の一文字を入れたかっただけよ。
好きな人と繋がっていたいって、ただ、それだけだったんだと思う」
「でも、サユにぴったりな名前だ」
「それは今の紗優を見てるからそう思うだけでしょ。
それに、紗優には優しい以外のいいところもあるわ。
名前に込められた意味だけがすべてじゃないわよ」
「それは……そうだな」
優しくて素直で。
だけど変なところは意地っ張り。
元気に笑うと誰より可愛いサユ。
サユをじっと見つめると、不思議そうに小首をかしげる。
そうだな、名前だけがすべてじゃない。
パタンと仏壇が閉まる音がする。
「さあ、このお部屋寒いからリビングに行きましょう。お夕飯作らなくちゃ」
紗彩に追い立てられるように、皆で和室を出る。
俺にとって大切なのは、この家族だ。
生まれてくる子と、サユは父親が違うけど。
俺にとっては、2人とも同じ子供で、わだかまり無く仲良くして欲しい。
だったら、皆をつないでくれる、そんな名前がいい。