幸せ家族計画
「子供産むのも大事な仕事だよ。
しかも俺には絶対出来ない」
「英治くん」
驚いた様子の紗彩が、ゆっくりと満面の笑みを浮かべる。
その表情を見てるだけで、幸せな気分になるから不思議だ。
「信頼してる。紗彩にしか頼めない」
キスをして髪を撫でると、腕の中の紗彩がしがみついてくる。
「……それは、嬉しいかも」
小さな声で、秘密の話でもするように言うのは、恥ずかしいからなのか。
普段あんなに負けず嫌いでしっかりしてて、どちらかと言えば男っぽいのに、こんなときだけは純情な女の子みたいで。
「なんかそそるなぁ」
「ちょ、なに、英治くん!」
「はは。今日は悩んで疲れたから。ご褒美でももらおうかな」
ゆっくり体制をずらし、紗彩の呼吸を封じ込める。
「……もう」
小さな呟きは、やがて吐息と混ざりだして。
俺たちはゆっくりと幸せをかみしめるのだ。
【fin.】