幸せ家族計画
秋が深まり、日暮れも早くなる。
先日、ようやく仕事にひと段落つけることが出来た私は、大きなお腹を抱えながら、スーパーで買い物を済ませて帰路についた。
これから産休に入るまでは定時で帰ることが出来るだろう。
今まで、紗優の事も英治くんにかなり任せてしまったから、ちゃんとお話とか聞いてあげなくちゃ。
英治くんに仕事に対する理解があるのは本当に助かっている。
結婚する時、『仕事をセーブして欲しい』とまで言っていたのに、実際は私の仕事が忙しい時は、さりげなく手伝ってくれていて。
実家で暮らしていた時は仕事に偏り過ぎてしまっていたけど、今はいいバランスで働いている気がする。
もちろん、それは責任あるポストから降りたっていうのもあるけど。
「いたた……」
内側からお腹を蹴る動き。
僕の話も聞いてよって言ってる?
大丈夫。忘れたことなんかないわよ。
「ね、彩治くん」
お腹をさすりながら呼びかける。
先日の検診で性別は男の子だと判明した。
英治くんが決めてくれたこの子の名前。
決まるまで、柄にもなく凄く悩んでいて、それがおかしいのと同時に嬉しかった。
昔なら悩まずポンポンと思いつきで決めていただろう。
そうしなかったのは、この子と、そして影響を受けるはずの紗優の事をちゃんと考えてくれてるからだ。
結婚してからのそんな変化を思うと、頬が緩む。